2017年度日本OR学会中部支部シンポジウム 「準モンテカルロ法の理論とOR」ルポ

2017年9月16日13時15分より,ウインクあいち(愛知県産業労働センター)15階の愛知県立大学サテライトキャンパスにて、2017年度日本OR学会中部支部シンポジウムが「準モンテカルロ法の理論とOR」というテーマで開催されました。会場には臨時の椅子を増やすなど大変な盛況でした(講演者4名, 教員17名,企業 3名,学生 10名,計:34名)。シンポジウムでは東京大学名誉教授の伏見正則先生から開会の挨拶をいただき,それに続き,この分野の最先端でご活躍される4人の先生方からご講演をいただけました。
政策研究大学院大学の諸星穂積先生からは「準モンテカルロ法の使い方」というテーマで、本シンポジウムの中心的話題である「準乱数」について,準乱数を構成する際の基本的な手法であるランダム化について,さらには準モンテカルロ法の適用分野に関する紹介をしていただけました。
東京大学の合田隆先生からは諸星穂積先生のお話とリンクする形で、前半部分はデジタルネットをはじめとした一様分布型の点集合に関してお話をいただきました。後半部分は関数クラスを制限した元での,超高収束型準モンテカルロ法について,また,この分野の課題について,ご自身の新しい研究を含めお話いただけました。
慶応義塾大学の今井潤一先生からは,「ファイナンシャル・エンジニアリングにおける準モンテカルロ法の効率化」というテーマで,金融工学において実際に問題となる積分計算に対して,どのように準乱数を用いれば良いのかご自身の研究を含めお話いただけました。理論研究だけでは分からない興味深い話題を提供していただきました。
立命館大学の原瀬晋先生からは、「64ビット高性能線形擬似乱数発生法の開発」のテーマでご講演をいただけました.メルセンヌ・ツイスタを代表とする擬似乱数生成器は今日計算機実験をする上で欠くことができません。この分野の最近の進展も含め,自身が開発された擬似乱数発生器についてお話しいただきました。
シンポジウムは教員,実務家,学生など多くのOR研究者が集い,短い時間でしたが大変有意義な意見交換ができ、ORの研究と普及に大いに貢献ができたものではなかったかと思いました.

OR学会中部支部 SSOR中部支部2017ルポ

2017年8月31日(木),9月1日(金),合宿形式の若手育成プログラム,SSOR中部支部2017が開催された.開催場所は,公立学校共済組合 蒲郡保養所 蒲郡荘である.
参加者数は47名であった.宿泊者数は36名で,登壇学生30名は全員が宿泊した.

今回のSSORの新しい点は2点ある.一つは,発表時間をショート・ロングの2種類を設けたことである.ショートの発表時間は5分程度,ロングは15分程度と設定した.これはできるだけ多くの学生に発表する機会を提供するためである.もう一つは,申し込み・アブストラクトの登録にクラウド環境(Google form)を活用したことである.混乱が起きないが心配したが,特に問題は生じなかった.

初日は13時から開始した.最初は,挨拶をかねて,奥田隆史実行委員長・(愛知県立大学,2016-2017年度支部長),今泉充啓・副実行委員長(愛知学泉大学)からSSORの意義ならびに注意事項についての説明があった.次に,キーノートとして中出康一氏(名古屋工業大学)より「マルコフ決定過程の理論と応用」をご講演いただいた.その後,長めの休憩を挟みながら3回のショートセッションを実施した.各ショートセッションでは6名の学生が登壇した.学生の所属は南山大学,名古屋市立大学,愛知県立大学,名古屋工業大学,静岡大学であった.その後,チェックインなどを済ませ,19時から21時まで,屋外でBBQスタイルの懇親会を実施した.21時でお開きにはしたが,竹島やビーチに散策にいく人もいれば,各部屋で懇親を続ける人などがいた.これこそが合宿形式でおこなう本イベントの意義である.

二日目は7時から9時までは朝食時間とした.9時からキーノートして金子美博氏(岐阜大学)より「ORスピリッツ 生涯研究者を目指して」をご講演いただいた.その後,休憩を挟みながら3回のロングセッションを実施した.各ロングセッションでは4名の学生が登壇した.学生の所属は愛知県立大学,岐阜大学,名古屋大学であった.最後はクロージングとして奥田隆史実行委員長が挨拶をし,13時30分,に終了した.

各セッションでの発表は完成されたものもあれば,まだ途中のものもあったかもしれない.しかしながら,人前で自分のしてきた研究について話すという機会は,若手が成長する上で重要であると思われる.今後も可能な限り発表の機会を与えていきたい.

文末であるが60周年記念事業のサポートに感謝する.

開催案内 C3POセミナー #4

開催案内 C3POセミナー #4

□日時:2017年10月25日(水)午後3時~午後4時30分

□場所:名古屋工業大学 2号館 7階 701B室
名古屋市昭和区御器所町
http://www.nitech.ac.jp/access/print.html

□講演タイトル:グローバルで勝負する日本企業のIoT活用

□講演者:柏田 淳一氏(アビームシステムズ株式会社)

□講演概要:グローバルでは,エコシステムを意識したIoT活用が進み,スタートアップとの協調,バリューチェーンのデジタル化,スマートファクトリ導入など,取組みの切り口も多様化しています.それに対して,グローバルで進むDigital変革に日本企業はどう立ち向かうか,日本企業の様々なIoT活用事例について考察を踏まえながら紹介します.

□参加費:無料

□問合せ先: 中出康一 (名古屋工業大学) nakade@nitech.ac.jp

□「C3PO」について:「C」は中部支部,「3P」は午後3時,「O」はオペレーションズ・リサーチを意味しています.2016年度から開催しております.

ORセミナー『地理情報システム入門』の開催について

2017年度  第4回 ORセミナー『地理情報システム入門』を中部支部で開催します.
内容は下記の通りです.
■開催趣旨:フリーのGISソフト「QGIS」を使って,国勢調査をはじめとする地理空間データを可視化,分析する方法を紹介します.実際の現場で,地理空間データを利用しようとすると,そもそもどのようなデータが整備されているのか,どうやってそのデータを入手するのか,など最初から躓くことも多いと思います.本セミナーは,実務や研究で地理空間データを利用しようと考えている方にとって,最適なイントロダクションとなるでしょう.事前にQGISをインストールしたパソコンをご持参頂ければ,実行しながら確認できます.ダウンロードサイト: http://qgis.org/ja/site/forusers/download.html

■日時:2018年1月20日(土)10:30~17:30
■会場:南山大学 名古屋キャンパス(S棟 S48室)
■プログラム・申し込みなど:下記を参照ください
https://orsj.org/activity/seminar.html#semi4

SSOR中部支部2017プログラムについて(2017年8月3日版)

2017年8月31日(木)〜9月1日(金)に行うSSORのプログラムを掲載します。
SSOR中部支部2017プログラム(20170803版)
また、聴講および懇親会の参加の申し込みを受付いたします。
■聴講料:無料.
■懇親会参加費:6000円.
■締め切り2017年8月21日
以下のフォームよりお申し込みください。
[contact-form-7 id=”2755″ title=”20170831SSOR”]

OR学会中部支部 2017年度第1回 OR学会中部支部研究会 ルポ

2017年7月24日(月)15:00より,金城学院大学サテライトキャンパスにおいて,
2017年度第1回OR学会中部支部研究会が開催された.今回の研究会では,Vidhyashree Nagarajuさん,Lance Fiondella 先生(University of Massachusetts,Dartmouth)により「Minimizing Average Procurement Unit Cost of a Rotorcraft Fleet through Reliability Improvement」と題する研究発表がなされた.参加者数は17名であった.

OR学会中部支部 2017年度第1回支部講演会ルポ

2017年6月17日(土)14時30分より,愛知大学・名古屋キャンパスにおいて,OR学会中部支部 2017年度第1回支部講演会が開催された.講演会では最初にMing J Zuo先生(University of Alberta, Canada)により「Multi-State Network Reliability Evaluation」と題する講演がなされた.引き続いて, Yannan HU先生(University of Nagoya, JAPAN)により「Heuristics for 2D and 3D packing problems」と題する講演がなされた.参加者数は26名であった.

2017年6月17日(土)14時30分より,愛知大学・名古屋キャンパスにおいて,OR学会中部支部 2017年度第1回支部講演会が開催された.講演会では最初にMing J Zuo先生(University of Alberta, Canada)により「Multi-State Network Reliability Evaluation」と題する講演がなされた.引き続いて, Yannan HU先生(University of Nagoya, JAPAN)により「Heuristics for 2D and 3D packing problems」と題する講演がなされた.参加者数は26名であった.

日本OR学会 2017年度中部支部シンポジウム 「準モンテカルロ法の理論とOR」

日本OR学会 2017年度中部支部シンポジウム
「準モンテカルロ法の理論とOR」
日時: 2017年9月16日(土)13:15-17:55
場所: ウインクあいち15階(愛知県立大学サテライトキャンパス)
〒450-0002 名古屋市中村区名駅4丁目4-38
http://www.winc-aichi.jp/access/

2017年度OR学会中部支部シンポジウムflyer

シンポジウム趣旨
情報化社会が進んだ今日,蓄積された膨大な情報(ビッグデータ)を利活用することは必須となっている.そのような状況の中で,解析的に計算することが難しい高次元における数値積分法の必要性がますます高まっている.本シンポジウムでは,そのような高次元における積分法を実現する方法のひとつである「準モンテカルロ法」の理論とその応用をテーマとし,この分野の最前線で活躍されている研究者を招き,最新の研究成果や活用事例などを報告していただく.また,今後の研究交流の可能性を一同で模索する.

プログラム
13:15-13:20 開会挨拶
13:20-14:20 「準モンテカルロ法の使い方」
講師:諸星 穂積(政策研究大学院大学)
14:30-15:30 「準モンテカルロ法の基礎から工学的応用の可能性まで」
講師:合田 隆(東京大学大学院工学研究科)
15:40-16:40 「フィナンシャル・エンジニアリングにおける準モンテカルロ法の効率化」
講師:今井 潤一(慶応義塾大学理工学部)
16:50-17:50「64ビット高性能線形擬似乱数発生法の開発」
講師:原瀬 晋 (立命館大学理工学部)
17:50-17:55  閉会挨拶

参加費
1,000円 (ただし,学生は無料)

懇親会
シンポジウム終了後,懇親会を計画しています(予定会費5,000円・場所:会場近辺).
懇親会に参加される方は,会場予約の都合上,下記の事前申し込みを必ずご利用ください.多くの皆さまのご参加をお待ちしております.

申し込み方法
本ページ下部の参加申し込みフォームよりお申し込みください(締切2017年9月1日(金)).
シンポジウムは当日参加も可能ですが,準備の都合上,できるだけ事前申し込みにご協力ください.
なお,懇親会に参加される方は,席の確保のため,事前申し込みを必ずお願いします.

後援・協賛団体等
主催: 日本オペレーションズ・リサーチ学会中部支部
後援: 中部産業連盟
協賛団体:IEEE名古屋支部,電子情報通信学会東海支部,電子情報通信学会 システム数理と応用研究会(MSS研究会),中部品質管理協会,日本経営工学会中部支部,日本品質管理学会中部支部

お問い合わせ先: OR学会中部支部研究幹事 平尾将剛(hirao@ist.aichi-pu.ac.jp)

[contact-form-7 id=”2739″ title=”20170916″]

【2017年7月24日(月)】OR学会中部支部研究会のお知らせ

【2017年7月24日(月)】OR学会中部支部研究会のお知らせ
OR学会中部支部研究会を以下のように開催いたします. 皆さまのご参加をお待ちしております.

★2017年第1回 OR学会中部支部研究会★
■日時:2017年7月24日(月)15:00-17:00
■場所:金城学院大学サテライトキャンパス
〒 460-0003 名古屋市中区錦三丁目15番15号 CTV錦ビル4階
(セントラルパーク地下街10A出口前)
http://www.kinjo-u.ac.jp/pc/inst/38.html

講演者:Ms. Vidhyashree Nagaraju and Prof. Lance Fiondella (University of Massachusetts Dartmouth)

講演題目:Minimizing Average Procurement Unit Cost of a Rotorcraft Fleet through Reliability Improvement

講演概要:Tradespace Exploration (TSE) is a Department of Defense Engineered Resilient Systems thrust, with overarching goals to develop processes and products capable of performing in a wide range of adverse conditions commonly encountered by military systems. TSE technologies are modernizing system engineering, facilitating stakeholder engagement through distributed collaborative environments for design and analysis of alternatives. However, the majority of TSE research emphasizes tradeoffs between functional requirements, especially those related to performance, not nonfunctional requirements such as reliability, availability, and maintainability, which impact operation and support costs. This talk presents a model to explicitly consider the impact of reliability improvement on availability and cost while simultaneously considering fleet size and average procurement unit cost (APUC). Examples illustrate how reliability improvement could significantly increase availability as well as reduce lifecycle and average procurement unit cost.

第44回OR学会中部支部研究発表会・特別講演会ルポ

第44回OR学会中部支部研究発表会・特別講演会ルポ

2017年3月4日(土)に,ウインクあいち愛知県立大学サテライトキャンパスにおいて,第44回OR学会中部支部研究発表会・特別講演会が54名の参加者を迎えて開催された.
研究発表会では,学生による13件の発表があり,1名に最優秀賞,2名に優秀賞が授与された.

最優秀賞は,名古屋大学の松下健氏による「レクトリニア多角形詰込問題に対する新しい解表現法の提案」に対して授与された.同氏は,レクトリニア多角形詰込問題において, 配置するx 座標が与えられている図形に対し, 詰込み順序に基づく新たな解表現法を提案した.レクトリニア多角形詰込問題には,VLSI デザインや木材切り出しなど幅広い応用がある.同氏は,計算実験により,提案した手法が既存手法に比べて計算効率と精度を改善していることを示した.
また1つ目の優秀賞は,南山大学の堀篤史氏による「マルチリーダー・フォロワーゲームに対する Gauss-Seidel 型ペナルティ法」に対して授与された.マルチリーダー・フォロワーゲームは,非協力ゲームにおいて,一部の複数のプレイヤーが残りのプレイヤーより先に戦略を決められるようなゲームのことであり,寡占市場においてよく見られるモデルである.同氏は,マルチリーダー・フォロワーゲーム(multi-L/F) に対する新しい数値解析アルゴリズムを提案した.
さらに2つ目の優秀賞は,愛知県立大学の森友哉氏による「フォグコンピューティングにおける多様なフォグノードを用いたクラウドの分散処理手法の検討」に対して授与された.同氏は,IoT(Internet of Things)を実現するために必要不可欠なフォグコンピューティングと呼ばれる分散コンピューティングシステムにおける振舞いを,VCRS型待ち行列システムとして表現し,そのジョブ割り当て戦略を検討し評価した.
研究発表会では,オペレーションズ・リサーチ学会の次世代の担う若手研究者によるフレッシュな発表が行われ,また参加者との間で活発な議論が交わされ,参加者に刺激を与える発表会となった.

研究発表会に引き続いて,豊橋技術科学大学の増山繁先生による特別講演会が開催された.増山先生からは,講演題目「最小木問題とその周辺」の下,枝に重みが与えられている連結無向グラフに対して全ての節点間に路が出来るような,枝の重みの総和が最小の 全域木を求める問題である最小木問題は効率良く解けることが良く知られている. それに対し身近な通信ネット ワーク・デザインへの適用を想定し、葉にすることが可能な節点集合を指定した問題を考えると枝の重みを全て1と した場合でもNP困難になる.そこで,効率よく解けるグラフの部分クラスを構造的特徴に注意しつつ解説していただいた. 講演は,参加者のこの分野への関心を大いに高める内容であった.