第299回部会 (12月18日) の開催案内

第299回 「待ち行列研究部会」

日時:令和3年12月18日 (土) 14:00~17:00
場所:オンライン
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テーマと講師

1.パーシステントホモロジーとその応用
白井 朋之(九州大学)

パーシステントホモロジーは与えられたデータの位相的な性質を測るための道具
として応用分野であらわれ,2000年頃数学的に定式化された概念である.多くの
ソフトウェアも開発されており,最近の位相的データ解析(topological
data analysis)では欠かせない道具となっている.通常のホモロジーでは,観測
している対象の位相的特徴(連結成分・サイクル・空隙)の個数をベッチ数として
捉えるのに対し,パーシステントホモロジーは,観測している対象に何らかの
フィルトレーション(増大列)を導入し,位相的特徴の個数のみならず,その特
徴の生成時間と消滅時間を捉えることができる.ホモロジー論にパラメータ(解
像度,時間etc.)を導入したものと理解できて,タンパク質の構造解析,材料科
学,画像解析など種々の分野に応用されている.本講演では,点過程や単体複体
に対するパーシステントホモロジーについて概観した後,関連する結果やその応
用について触れる予定である.

2.上部ブロック・ヘッセンベルグ型マルコフ連鎖に対する新しい行列無限積形 式解とその準アルゴリズム的構築可能性
増山 博之(東京都立大学)

本研究は, 上部ブロック・ヘッセンベルグ型マルコフ連鎖の定常分布の解構築法
に関するものである. 準アルゴリズム的構築可能性という概念を導入し, それを満たす行列無限積形式
解を提示する. 加えて, いくつかの特別な場合については, 行列無限積形式解の計算コストが軽
減できることを示す.