第315回部会 (4月20日) の開催案内

第315回 「待ち行列研究部会」

日時:令和6年4月20日 14:00~17:00
場所:ハイブリッド (早稲田大学西早稲田キャンパス&オンライン)

■ 対面参加の方へ:
対面会場は「早稲田大学 西早稲田キャンパス 63号館 1F数学応数会議室」です.
https://www.waseda.jp/top/access/nishiwaseda-campus

■ オンライン参加の方へ:
オンラインで参加される方は,以下の URL より参加登録をお願いいたします.
https://us02web.zoom.us/meeting/register/tZEpcuuprD4sHtYnnYU_n-AZhMRNW3SsbHU6

■ 講師とテーマ

1. 豊泉 洋(早稲田大学)
倒産を避ける最適運転資金問題における非局所変分不等式(Non-local Variational Inequality on optimal working capital problem)

ポアソン過程に従う売り上げを持つビジネスにおける最適運転資金問題を考える。一般にブラウン運動によって駆動される確率的最適化問題は、動的計画法により2階微分を含むハミルトン・ヤコビ・ベルマン方程式に定式化されるが、その解にはアプリオリな滑らかさが期待できないので、解の滑らかさの条件を緩和した粘性解を用いて定式化し、解く方法が広く知られている。ここでは、応用確率ではまだ馴染みの浅い粘性解の理論を紹介しながら、ポアソン過程に従う確率的ジャンプを含むため、さらに解の挙動の滑らかさが怪しい確率的最適化問題を扱い、この問題が非局所変分不等式の粘性解として定式化できることを示す。さらに、非局所変分不等式を逐次的に解くことにより、手元資金不足による倒産を避け、確定的な利益を最大化する最適な運転資金のレベルを実際に導出できることを示す。

2. 井上 文彰 (大阪大学)
ポワソン背後到着流が存在する単一サーバ待ち行列における Age of Information の解析

ポワソン過程に従う背後到着流が存在する単一サーバ待ち行列 (GI+M/GI+GI/1 待ち行列) における情報鮮度 Age of Information (AoI) を考察する.
注目する送信端末 (センサ) は,一般の非負確率分布に従う間隔で,更新情報を含むパケット (情報パケット) をサーバへ送出する.情報パケットはサーバにおいて先着順で処理され,その結果得られた情報は受信端末 (モニタ) に表示される.AoI は,現時刻において表示中の情報がセンサで生成されてからの経過時間として定義される量であり,これは情報のリアルタイム性を表す指標である.
本講演では,GI+M/GI+GI/1 待ち行列における AoI の定常分布のラプラス・スティルチェス変換を導出し,さらに,確率順序を用いた議論により,AoI の上下界に関するいくつかの結果を導出する.また,特別な場合として,PH+M/GI+GI/1 待ち行列における平均 AoI の数値計算法を示し,それに基づいたいくつかの数値例を紹介する.