21年度シンポジウム報告

2010年9月22日(水)13:30-17:30に第7回日本OR 学会中部支部シンポジウムが開催されました.今回は,会場を名古屋大学ベンチャービジネスラボラトリー 3Fベンチャーホールで行われました.

最初に支部長から,本シンポジウムの趣旨説明,各講師の紹介がありました.今回の約80人の参加者というのはこれまでの最高記録であることも紹介されました.

第1件目 非線形最適化を用いた図形の充填問題の解法
今道貴司(IBM東京基礎研究所)氏

テーマは,与えられた容器にいくつかの図形を重なりなく詰める充填問題.この問題を,微分可能な非線形計画問題に定式化することで,数理計画法が適用できるところがミソ.布からシャツや水着を切り出す例題に対して,実験上は成功したが,実用化はまだされていない,応用例を募集中!だそうです.
また3次元はめ込みの場合,重力の影響を考える必要があるが...なかなか難しそうです.

第2件目 メタヒューリスティクスによる制約最適化ソルバーの構築
野々部宏司(法政大学)先生

まず研究目的が,定式化された最適化問題に対する「ソルバーの開発」・「メタ・ヒューリスティクスの適用」であることを説明した後,研究対象の汎用ソルバーを解説.そして,PATAT2010におけるナーススケジューリングコンテストのSML(簡単~難解)各部門でベスト5に入賞したことから,提案するアルゴリズムの汎用性があることの証明をされました.

第3件目 サプライ・チェインにおける様々な最適化問題を解くための統一言語
久保幹雄(東京海洋大学)先生

役に立つツールとしてPythonを利用してみたい気分にさせるお話でした.

第4件目 最適化ツールを用いた実務の意思決定支援の方法
田辺隆人(株式会社 数理システム)氏

現場での経験をもとにしたソルバー開発のご苦労,最適化を利用する際の企業人としての価値観を披露されました.とくに現場の意見を問題の階層化に役立てる部分は興味深い点です.

どれも中身の濃いご講演で,至福の時間を過ごすことができました.