日本OR学会中部支部e-ニュース 平成14年度第2号

内容

1 3学会共催研究発表会プログラム
2 第1回中部支部研究会報告

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1.3学会共催研究発表会

共通テーマ:「変革の世紀に求められる 経営に生かす手法研究と実践」

開催日:2002年8月26日(月)    会場:名古屋工業大学2号館

時 間    内   容

10:30~10:50 受 付 〔第1会場:生産システム工学科 F1教室〕

研究発表プログラムは,添付ファイルを参照してください.

17:00~18:30 懇 親 会 会場:名古屋工業大学内 大学会館2Fカフェテリア食堂

2.第1回研究会報告

7月19日(金)に中部品質管理協会会議室において第1回研究会が行われた.

最初のご講演は本告光男(元中部電力情報システム担当支配人,愛知工業大学元教授)先生で,タイトルは「企業会員数の退化現象について思うこと」.

ご講演の概要:先生はOR学会の(特に企業の)会員数が近年減少していることを憂いておられる.このためOR的問題を抱える企業を取り込む必要があるが,企業の中では,ORの説明しずらい学問といった負のイメージもあり,昔と比べて地位が低下している.また学会誌も技術者には難しく企業に役立つ話題が少ないし,研究発表会は,以前は企業の‘問題の研究’の発表とそれに対する研究者の聞く場であったのが,最近はそういった話題は門前払いの感がある.
これらのことを考え,ここで解決法を以下のようにまとめる.

1.世界を広げる.付き合いを広げる.具体的には企業の論文を親切に見る.
2.原点に戻る.手法だけ(縦へ)の研究でなく問題(横へ)の繋がりが必要.
3.実践しやすい経営組織,環境作り.
4.学会誌は相手の目の高さで作る.

以上批判めいた話になったが決してそうではなく学会の淘汰に対する危機感からの発言であるのだと話を結ばれた.
その後,参加者との質疑応答が活発に行われたが,企業の参加者が少なく参考意見が聞けなかったのが残念であった.

次のご講演は宇野裕之(大阪府立大学 総合科学部 数理・情報科学科)先生で,タイトルは「Minimum Edge Ranking Spanning Tree Problem」.
ご講演の概要:グラフの‘枝ランク付け’問題とは各枝に「同じ数字(=i)をつけられた枝を結ぶすべての路に含まれる枝にはiより大きい数字が与えられている」という性質を持つ数字(ランク)を与えることであり,この問題はNP-hardに属する問題であることが知られている.
今回は,ランクを与える枝はグラフの全域木にならねばならないという性質を付加した枝ランク付け全域木問題を考える.
この問題はプロセスの並列化や複数のHD上のデータの効率的な集約などに応用される.この問題も一般のグラフに対してはNP-hardであるが,閾値グラフには多項式時間で解くことができることを示した.
今回の参加者の多くはグラフ理論に対しての専門家ではなかったのだが,難解な問題にも関わらず宇野先生のわかりやすい解説で理解が深まったという印象を受けた.
参加者の興味は閾値グラフに関するものが多く,なぜこのグラフを対象にしたのかとか,他にも面白い結果が出そうなグラフの形はないのかといった質問が出た.