日本OR学会中部支部ニュース 平成13年度 第4回

研究会,講演会のお知らせ

第2回中部支部研究会のお知らせ

 日時:平成13年11月29日(木),午後5時-7時

 場所:名古屋工業大学 2号館3階F3教室

 題目(1):「協力ゲームにおける貢献度に基づく解概念とその応用」
 講演者: 鶴見昌代 (大阪大学大学院工学研究科電子情報エネルギー工学専攻)
 概要:協力ゲーム理論の重要な解概念である Shapley値は,各意志決定者が順列にしたがって協力関係を形成していくと考えられるとき,各順列が等確率で生じるという前提での順列に基づく貢献度の期待値として定義される.また,Banzhaf 値は,各提携が等確率で生じるという前提での提携に基づく貢献度の期待値として定義される.しかしながら,現実社会の問題においては,提携や順列のような貢献度を測る基準が等確率で生じると考えることが妥当でない場合も多い.

そこで,本研究では,いかなる基準に対しても貢献度の期待値の形で解を与えるような,より一般化した解概念を提案する.さらに提案した解を基準化することによって新たな解を構成し,その解と基準化する前の解に対して共に公理化を行った後で,従来の解との関係について明らかにする.最後に,本研究で提案した解を用いて,実際の日本の参議院における各政党の影響力についての評価を行う.

 題目(2):「顧客から見たOR」
 講演者:橋本日出男(南山大学総合政策学部)
 概要:世界銀行のエコノミストであった著者が、世銀の仕事をしていく上で、ORをどのように使ったかについて述べる。具体的には、Linear and Nonlinear Programming, Linear and Nonlinear Complementarity Programming, Integer Programming, Dynamic Programmingなどの、一国ないし数ヶ国経済の応用一般均衡分析、空間均衡分析、一次産品市場分析、貿易・投資・資源問題分析への適用について考察する。

定例講演会のお知らせ

 日時:平成13年12月8日(土)午後3時-午後5時
 会場:株式会社メイテツコム 本社 第3,4会議室

 講演者と講演題目:
 元中部電力 情報システム担当支配人,愛知工業大学元教授 本告 光男
       「中部支部の生い立ちと小野勝次先生の思い出」

 株式会社メイテツコム社長 岩田 怜
       「OR雑感」

 会場への行き方:名鉄グランドホテルのエレベーターの向い側にあるエレベーターに乗ります。10階でエレベーターを降りたら、左手側にある「太平洋フェリー」の壁文字に向かって歩き、右へ曲がります。そのまま真っ直ぐ行くと、左手側に弊社(メイコム)の来客用受付があり、さらに真っ直ぐ行くと右手側に会議室があります。当日、10階まで来ていただければ、会場がわかるようになっております。

懇親会のご案内

 定例講演会の後に懇親会を行います.

 懇親会:平成13年12月8日(土)午後5時以降(詳細な時間は未定)
 場所: うな善(メルサグルメ館南向え)052-551-5235
 会費: 6,000円ぐらいとなります.
 料理: ミニ会席料理(小さいなべものが付きます)

 参加される方は,下記当て電子メイルまたはファックスで11月中にお知らせ下さい.

中村 正治
e-mail PFA00744[at]nifty.ne.jp
FAX 0594-46-8053

報告 平成13年度支部講演会

 講演者:日本ガイシ株式会社 人事部 人材開発担当部長
      飯田 次生氏

 日時:  平成13年9月29日(土)午後2時~午後4時
 場所:  名古屋工業大学2号館3階301号室(F3講義室)

 講演内容:今年度の支部講演会は,第25回日本OR学会実施賞授賞記念講演会と題して,受賞された日本ガイシ株式会社(以下NGK)の人事部人材開発担当部長飯田次生氏に講演をお願いした.

飯田氏のご講演は,NGKの歴史に始まった.1919年,日本陶器の碍子部門が独立して日本碍子(株)が設立されたのが始まりで,以来80年以上にわたり,電力,セラミックス,エンジニアリング,エレクトロニクスの各部門において,研究・製品開発が行われてきた.ORがなかなか企業に浸透しない日本にあって,NGKにおいてORが積極的に活用され始めたのは30年以上前であり,企業におけるORの黎明期を築いたと言っても過言ではないだろう.

現在では,かなり多方面でORの手法が使われているとのことであり,主な14項目について紹介があった.その中でも特に「原材料・燃料の在庫管理」「主要原料の置き場サイズ最適化」「製造工程シミュレーション」「標準原価設定の分析とシミュレーション」「AIを用いた生産計画システム」「製品積上げ時の平行度解析」について詳細な説明があった.在庫管理においては,輻輳する目的関数の設定と需要予測や調達期間管理が重要であり,これらの不確実な要素をうまくモデルに反映することが難しいとのことであった.また,現場において対話型シミュレーションソフトなどを用いて分析を行うようになったものの,モデル構築技術の困難さが現在のところネックになっているとのお話もあった.

最後に,ORを一部の研究者のものだけにせず,理論的研究に加えて積極的に応用研究に取り組み,ますますORが企業へ浸透することを願ってやまない,と語られた.さらに,企業においてOR的発想は非常に重要になっており,ORの知識のある人材が必要とされていることを付け加えられ,講演を終えられた.これからORを学んで社会に出ようとしている学生にとっても,また,大学でORを教える教員にとっても刺激のある講演であった.

日本OR学会中部支部 事務局
名古屋工業大学生産システム工学科内
大鋳 史男
〒466-8555 名古屋市昭和区御器所町
TEL 052-735-5393
FAX 052-725-5401
Email ohi[at]system.nitech.ac.jp