【開催報告】ヘルスケアのOR研究会第16回

日時:2023年10月7日(土)14:30~16:40
南山大学理工学研究センター共催
場所:
南山大学名古屋キャンパスS棟1階会議室1
+オンライン(Zoom)
出席者:23名

(1) 救急サービス最適化のための救急隊出動モデルの開発
川崎雄二郎(名古屋工業大学)

近年の日本においては、高齢化に伴う救急需要の増加と地方財政の逼迫によって救急サービスに関わる資源の適正利用に対する関心が高まっている。本講演では、現実的な出動体制を考慮した動的なモデルを用いて救急隊の配置を最適化するための新しい手法が紹介された。この手法は、救急隊が出動要請を受け現場に到着するまでの時間を最小化する配置を与えるが、目的関数を変えることによって異なる傾向を持った配置を求めることができる。講演の前半では平均時間の最小化と上限時間の最小化によって得られる配置を比較し、後半では考案した手法を現実のデータに適用した例が紹介された。

(2) 介護報酬の地域加算が訪問介護事業所の立地に与える影響分析-
相浦洋志(南山大学)

日本の介護保険制度は、市区町村ごとの賃金水準に応じて介護報酬(介護サービス価格)が加算されている。本報告では、この加算が2015年4年に大きく改訂されたことに着目し、介護報酬加算が訪問介護事業所の立地に与える影響を推計した結果が示された。この研究では報酬加算以外の様々な地域特性の影響を排除するため、市区町村境界付近の事業所のみ抽出した上で、固定効果モデルにより推計が行われている。結果として、ある市区町村が近隣市区町村比べ介護報酬が1%ポイント加算されると、その市区町村に訪問介護事業所が立地する割合が近隣市区町村よりも1.4%ポイント増加することが示された。