【開催報告】第308回 「待ち行列研究部会」(4月15日)

第308回部会報告

日時:
2023年4月15日(土) 14:00〜17:00
出席:
19名
場所:
ハイブリッド開催 (オンライン&大阪大学吹田キャンパスセンテラスサロン)
テーマと発表者(*は講演者):
  1. 安全関連系に対する経済的な保全実施のための数理的アプローチ
    井上 真二 (関西大学)
    本講演では,安全関連系,特に電子・電子・プログラマブル電子機器(E/E/PE)安全関連系の運用における最適なプルーフテスト実施間隔の決定法が議論された.プルーフテストは,頻繁に実施される自己診断機能では検出できないフォールト(DUフォールト)の検知および修復に主軸をおく保全活動であり,その実施には相応のコストが必要となる.本講演では,保全コストと危害リスクとのトレードオフ関係に着目し,確率論的な定式化に基づいて最適方策が理論的に導出され,その性質が議論された.
  2. 連続時間マルコフ連鎖分割手法の開発と応用
    笹沼 克信 (名古屋商科大学)
    本講演では,連続時間マルコフ連鎖を複数の部分的なマルコフ連鎖に分割して定常状態を求める手法が論じられた.初めに,簡単なマルコフ連鎖に対して分割法の原理が説明され,分割後の複数のマルコフ連鎖が同一の状態を含む場合の取り扱いが解説された.続いて,背後状態が巡回的なマルコフ連鎖に従うようなM/M/1待ち行列の分析法が論じられ,このモデルにおいて,確率フローの実質的な収支に着目して分割後のマルコフ連鎖の推移率を定めることで定常解析が容易になることが示された.