第303回 「待ち行列研究部会」
日時:令和4年6月18日 14:00~17:30
場所:ハイブリッド (オンライン&東京工業大学 大岡山キャンパス 西8号館(W)809号室)
※新型コロナウイルス感染拡大の状況によっては完全オンライン開催に移行します.
■ 対面参加の方へ:
対面会場にお越しになる方は,以下の事項 (「東京工業大学に来訪される方へ」からの抜粋) へのご協力をお願いいたします.
○ 来訪時には,体調不良でないことを必ずご確認ください.
○ 新型インフルエンザ等対策措置法に基づく緊急事態宣言あるいはまん延防止重点措置の対象地域から来学される方は,宣言・措置下での来学の必要性についてより慎重にご検討ください.
○ マスク着用,手洗い,アルコール消毒等の感染拡大防止策徹底にご協力ください.
○ 来学のために公共交通機関を利用するときも含め,来学中は原則としてマスクを着用してください.
○ 本学では,教職員に対しスマートフォンへの新型コロナウイルス接触確認アプリ(COCOA)のインストールを推奨しています.この点についてもご協力頂ければ幸いです.
■ オンライン参加の方へ:
オンラインで参加される方は,以下の URL より参加登録をお願いいたします.
https://us02web.zoom.us/meeting/register/tZUkd-2trjspE93IZD_5aEcxNQ2FjITeXEBi
テーマと講師
1.Proof-of-Stake ブロック・チェーンにおける投票型コンセンサスアルゴリズムと信頼度を用いた報酬罰則型インセンティブ・メカニズム
笠原 正治(奈良先端科学技術大学院大学)
ブロック・チェーンのProof-of-Stake (PoS) コンセンサス・アルゴリズムでは,stake と呼ばれる保証金を基に選出されたバリデータと呼ばれるノードが新規ブロックの正当性を投票に基いて合意形成する.投票に基づく合意形成では,不正投票が合意結果の信頼性を低下させるため,適切な投票には報酬を,不適切な投票には罰則を与える報酬罰則メカニズムが採用されている.本研究では,バリデータの投票行為を評価する指標として,投票履歴に基づく信頼度を導入し,信頼度に基づく報酬罰則方式を提案する.提案方式では,1回の投票毎に報酬または罰則を各バリデータに与えつつ,罰則で回収されたstake を報酬の原資として再配布する.数値例より,バリデータ信頼度の推定精度とバリデータの保有するstake量の変動について評価する.講演では,投票に関する確率的話題についても言及する.
2.多元トラヒックを収容するEPONのDRMPCPにおける平均待ち時間の近似式
宮田 純子,滝根哲哉(芝浦工業大学,大阪大学)
本発表では、多元トラヒックを想定した光回線終端装置(ONU:optical network units)を持つEPON(Ethernet passive optical networks)における上りトラヒックの平均待ち時間を考察する。このEPONでは、従来のMPCP(Multipoint Control Protocol with gated interleaved polling with adaptive cycle time)を拡張し、遅延REPORTメッセージ送信を導入したDR-MPCPが採用されていると仮定する。本発表では、まず、一般的なポーリングモデルで導出される疑似保存則について解説し、それをもとにDR-MPCPのポーリングモデルに対する擬似保存則を導出する。さらに、多元トラヒック環境を想定したONUを含むDR-MPCPにおける平均待ち時間の近似式を導出し、シミュレーションと比較することで、提案近似式の性能を評価する。
3.CM/GI/1/K (1≦K≦∞)におけるサービス時間の凸順序が与える影響について
徳田太郎,町原文明(東京電機大学)
完全単調(completely monotone)到着間隔を持つCM/GI/1/K(1≦K≦∞)において、サービス時間が凸順序で大きく(stochastically more variable)なると、混雑指標にどのような影響を与えるかを考察する。ここで、比較のため平均サービス時間は固定とする。混雑指標のなかで最も重要なものは非稼働期間長(idle period length)である。指数到着間隔分布(完全単調到着間隔分布の一種)をもつM/GI/1/Kにおける非稼働期間長分布はサービス時間分布の変化に対してinsensitiveであるが、指数到着間隔分布とは異なる完全単調到着間隔分布をもつCM/GI/1/K においては、サービス時間分布が凸順序で大きくなるにつれて非稼働期間長は分布の意味で小さく(stochastically less)なる。有限なKにおいて、サービス時間分布が凸順序で大きくなると呼損率は増加するので、リトルの公式により平均稼働期間長が減少することが即座に導かれるが、平均稼働期間長のみならず、稼働期間長自身が分布の意味で小さくなる。またKが増加すると、非稼働期間の長さと稼働期間の長さが分布の意味で大きくなるので、CM/D/1/∞の非稼働期間長と稼働期間長が、CM/GI/1/∞の中、分布の意味で最も大きくなる。最後に、「サービス時間分布が凸順序で大きくなると非稼働期間長が分布の意味で小さくなる」ことをH2/GI/1/Kにおいて例証する。特に、H2分布に対し、非対称型超指数分布を用いてそのバイアス係数の影響を論じる。