【開催報告】第302回 「待ち行列研究部会」(5月21日)

【待ち行列部会】第302回 部会 開催報告

日時:
2022年5月21日(土) 14:00〜17:00
出席:
23名
場所:
ハイブリッド開催 (オンライン&東京工業大学 大岡山キャンパス 西8号館(W)809号室)
テーマと発表者(*は講演者):
  1. ドクターヘリシステムの待ち行列的分析
    鵜飼 孝盛,佐久間 大(防衛大学校)
    本講演では,ドクターヘリシステムに対する待ち行列モデルを用いた分析が紹介された.待機室の無い M/M/1 待ち行列という基本モデルから開始し,帰還までの残り時間が閾値 (要請受諾閾値) 以下である場合に待機が可能となるモデル,ならびに現場進出後の中途取り消しの発生を組み入れた離散時間マルコフ連鎖モデルという複数のモデルに基づく解析ならびに実データを用いた分析が示された.特に,要請受諾閾値については,新規要請の発生時にドクターヘリが使用中である確率と要請から現着までに要する時間 (遅延時間) がトレードオフであることに注目し,適切な閾値の決定法が議論された.
  2. 待ち行列モデルの実社会応用のために
    水野 信也(静岡理工科大学)
    本講演では,待ち行列モデルの実社会応用において重要となるいくつかの問題が議論された.初めに,大規模な閉鎖型待ち行列ネットワークに対する数値計算法を並列化する手法に関する取り組みが紹介された.特に,平均値解析法に基づく並列計算と,並列シミュレーションによる誤差を許容した平均値評価の比較が示された.次に,人流シミュレーションに基づく混雑の定量化や3Dモデルを用いたその可視化が紹介され,詳細なシミュレーションを行うことのメリットが説明された.最後に,施設内の人の密集を分散させる問題の連続時間マルコフ連鎖を用いた定式化ならびに最適化が紹介された.