「評価のOR」×「動的決定モデルとその応用」合同研究会

【日時】2022年1月23日(日)13 : 30 ~ 16 : 50
【会場】Zoom でのオンライン開催

■ 講演1(13 : 30 ~ 14 : 30)
講演者:吉良 知文(群馬大学情報学部)
講演題目:物流の共同化支援:三角輸送と高速列挙
講演概要:物流業界は人手不足が深刻化しつつあり、個別最適化から全体最適化(競争から共創へ)のシフトが強く求められている。1台のトラックで、東京→金沢、金沢→大阪、大阪→東京といったように、3本の輸送を逐次的に処理する一連の輸送を三角輸送といい、実車率(走行距離に占める貨物積載区間の割合)の値が大きいほど効率が良くなる。本発表では、多数の輸送ルートが登録されたデータベースの中から、所与の実車率を超える三角輸送の組合せを高速に全列挙する手法を紹介する。その本質は、距離の公理を用いて実車率の上界を上手く計算して探索範囲を絞り込むことである。使う道具は大学教養数学(多変数関数の増減)である。本成果は、日本パレットレンタル株式会社が提供する共同幹線輸送マッチングシステム“TranOpt”にコアエンジンとして搭載され、既にサービスを開始している。本研究は、寺島伸男氏・渡邉安彦氏(日本パレットレンタル株式会社)、山本広高氏(株式会社THINCESS)との共同研究である。

■ 講演2(14 : 40 ~ 15 : 40)
講演者:草野 邦明(群馬大学情報学部)
講演題目:GISを用いた小売店の立地・商圏分析
講演概要:GISを用いた立地・商圏分析では、実店舗からの商品販売に関係する実空間(地理空間)を、点・線・域の3要素で表現することで、商品販売の現状(商圏)を記述(設定)することが行われる。すなわち、商品販売に関係する実空間の詳細な再現を通じて、商品の効率的販売につなげることに関わっている。さらに、国勢調査や経済センサスなど国の人口・世帯や店舗に関するデータを活用することが可能であり、企業が保有するデータを組み合わせことによって、自店舗への顧客数のほかに、地域の人口数も把握することで、全人口の中で自店舗の顧客の占める割合を知ることができるなど、センサスデータをベンチマークとして活用できるといった利点がある。本報告では、店舗の立地分析や商圏分析になぜGISが必要となるか、需要の種類とGISを利用した需要規模の推定および会員データとGISを用いたSCの商圏分析について紹介してみたい。

■ 講演3(15 : 50 ~ 16 : 50)
講演者:奥貫 圭一(群馬大学情報学部)
講演題目:近世江戸期の村ポリゴンデータの作成とその分析
講演概要:この報告では、近世江戸期の行政界GISデータの構築について紹介する。このデータは、UCデービスの故G. Skinner(1925-2008)先生と名古屋大学の溝口常俊名誉教授の20年余りにわたる地道な作業の積み重ねによるものであり、その成果はハーバード大学に保存されている。データの一部はウェブ(https://dataverse.harvard.edu/dataverse/hrs)で公開されており、たとえば、全国の郡のポリゴンデータや都市の点データがある。未公開のデータにも貴重なものがあり、そのひとつが尾張とその周辺を対象とする江戸期の村ポリゴンデータである。このポリゴンデータは明治20年代測量の5万分1や2万分1の地形図をベースマップとしてつくられており、近代的測量技術に基づいて作製された地形図をベースマップとすることで一定の位置精度をもったGISデータの構築がなされている。報告では、このデータ構築の経緯や分析結果などともに、歴史学分野でのGIS応用の可能性について紹介してみたい。

詳細については、webページをご参照下さい。
/hyoka/workshop_95/