第94回「評価のOR」研究会

・日時:2021年11月13日(土)13:30-16:45
・会場:Zoomでのオンライン開催

・講演1(13:30-15:00)
講 演 者:中岡 孝剛 氏(近畿大学)
講演題目:銀行業における私益性と地域公益性の評価:我が国地域銀行のデータを用いた記述統計分析
講演概要:近年の地域金融機関を取り巻く経営環境は非常に厳しい。金融仲介を通じた地域経済の活性化ならびに持続可能な成長へ貢献し、共栄関係を築くことが地域金融機関にとって重要な経営目標となりつつある。本稿では、地域銀行の私益性と地域公益性の関係を記述的統計ならびに指向性距離関数を用いたベンチマーキング分析によって試験的に検証する。分析の結果、両者には正の相関があるが、近年において薄れてきていることがわかった。

・講演2(15:15-16:45)
講 演 者:溝渕 英之 氏(龍谷大学)
講演題目:偏向的技術進歩のための成長会計
講演概要:偏向的技術進歩とは、生産フロンティアが比例的に拡大するのではなく、特定の投入物の方向に拡大していくような、技術進歩のことをいう。そのような技術進歩においては、生産効率の成長率が投入物ごとに異なっており、そのため、生産効率の成長率が低い投入物を、生産効率の成長率の高い投入物で代替することにより、技術進歩の偏向性を利用して、全要素生産性の上昇や経済成長に寄与することができると考えられる(偏向性効果)。本論文では、通常の成長会計の手法を拡張し、経済成長率を、技術進歩と投入物の増加と、そして新たに技術進歩の偏向性の効果の3つに要因分解できる手法を提案する。最後に、アメリカの産業別データに応用し、1998年から2019年までの期間の経済成長率の要因分解を行う。