日時:令和3年7月17日 14:00~17:00
場所:オンライン
テーマと講師
1.コンテンツ再配置によるICNルータのFIB集約
上山 憲昭(立命館大学)
コンテンツやIoTデータを効率的に配信できる新しいネットワークアーキテクチャとして,情報指向ネットワーク(ICN: information-centric networking)が注目されているが,コンテンツの名称は場所に依存しないため,ICN ルータの転送テーブル(FIB: forwarding information base)のエントリ集約は困難である.一方,インターネットではCDN (content delivery network)が,ユーザの配信品質を向上しネットワーク内のトラヒック量を削減する技術として広く用いられているが,CDNのこれら目的はICNにより達成される.そこで本研究では,CDNをICNのオリジナル提供プラットフォームとして位置づけ,CDNのキャッシュサーバにコンテンツのオリジナルを,ICNルータのFIBのサイズを効果的に削減するよう配置する技術について述べる.
2.マルコフ変調ランダムウォークにおける占有測度の漸近特性とその応用
小沢 利久(駒澤大学)
スキップフリーなマルコフ変調多次元ランダムウォーク (マルコフ加法過程) の非負領域における占有測度 (非負領域から離脱するまでの平均訪問回数) の裾の任意方向における減衰率を行列解析法を駆使して求める。この減衰率は、多次元準出生死滅過程 (QBD過程) の定常分布の裾の任意方向における減衰率の上限を与えるものであるが、減衰率の正確な値は境界の影響を考慮して求める必要がある。2次元の場合は、既に得られている軸方向での漸近特性の結果を援用することで何とか得られると考えている。3次元以上の場合は、相集合が加算であることが解析のネックとなる。ここについては、解析の道標となる予想を示す予定である。