日本オペレーションズ・リサーチ学会
 ■関西支部シンポジウム

 (詳細な案内pdf形式のダウンロード)
○テーマ:異分野コミュニケーションによる最適化の広がり
    〜 最適化研究者のサイドストーリー 〜

○日時:2013年11月16日(土) 13:00〜17:30
○場所:大阪大学中之島センター 7階
     〒530-0005 大阪市北区中之島4-3-53
  アクセスマップ: http://www.onc.osaka-u.ac.jp/others/map/

○シンポジウムの趣旨:

 「自分の研究を実務や他の研究分野でも生かしてほしいが,どうもうまく噛み合わない.」「有用な最適化手法を開発しても,その良さが自分の研究領域外の方々にうまく伝わらない.」…
最適化手法が様々な場面で活用される一方,研究が深化・細分化している中で,異分野の方々とのコミュニケーションのとりづらさ,感覚のずれを感じることは,どの研究者にも多かれ少なかれあるのではないでしょうか?ただ,こういった研究とは直接かかわらない,普段は表に出てこない悩みを共有し,異分野・実社会との横糸を張っていくための議論の場は少ないように思います.

 本シンポジウムでは,「研究分野や産学の垣根を超えて連携して研究を進めるためには?」というテーマのもと,いわゆる通常の研究発表ではなく,異分野や企業との共同研究の経験を持つ研究者の方々に経験談や取り組みを語っていただき,また懇親会では,参加者を含めて自由に議論していただくことで,研究者それぞれが感じている悩みや不安を共有しながら,垣根を超えるため意欲を高める第一歩を踏み出してもらえればと思っています.
普段は最適化やORの研究に関わることが少ない方々,実務家,若手研究者や院生・学生の方々にも,普段垣間見ることが少ない,研究者の横顔を見ることができる貴重なチャンスかと思いますので,是非ご参加いただければ幸いです.

○プログラム(敬称略):
13:00〜14:00 
「最適化研究における数値実験を中心としたアプリケーション駆動研究サイクル」
品野勇治(Zuse Institute Berlin)
[spoiler title=”講演要旨” open=”no” style=”default” icon=”plus” anchor=”” anchor_in_url=”no” class=””] 本講演では,最適化研究において,研究分野や産学の垣根を超えた研究に関して考察する材料を与えるべく,講演者の経験に基づき関連する二つの話題を取り上げたい.

1. Zuse Institute Berlin(ZIB)におけるアプリケーション駆動研究サイクル
 ZIBは,Fast Algorithms – Fast Computersを軸として研究を展開しているベルリン州立の公的な研究機関である.公的な研究機関ではあるが,75%の研究活動費はサードパーティからの資金となっている.数学を駆使した最適化アルゴリズム開発とそれを実現するソフトウェア開発や高度な計算サービスという,完全にソフトウェア面に限定した研究機関としては,企業との連携に最も成功している研究機関ではないかと思われる.本発表では,このような成功の鍵となる,最適化研究における数値実験を中心としたアプリケーション駆動研究サイクルを紹介したい.
2. 真に困難な混合整数計画問題をスパコン上で解くことへの取り組み
 講演者の現在の主たる研究は,混合整数計画問題において,あらゆる手段を駆使することにより真に最適解を得たい場合,できる限り多くのインスタンスを現実的な時間内で解くためにスパコンを有効に利用することである.この研究のために,現在では,Fujitsu PRIMERGY RX200S5 (日本:統計数理研究所),HLRN II(ドイツ:ZIB),Titan(米国:オークリッジ国立研究所)を定常的に利用している.このように複数国のスパコンを利用して研究することになった経緯を紹介するとともに,その経緯がアプリケーション駆動の研究サイクルと連動していることを説明したい.

 最適化分野におけるアプリケーション駆動研究サイクルは,学術機関での研究と企業における研究成果の利用との繋がりを良くする点では優れている.一方で,ソフトウェア開発・維持に多大な労力を要するため,日本の大学や研究機関における実施には困難さが伴う.まずは,アプリケーション駆動研究サイクルを活性化するための第一歩として,論文投稿時に,論文中の数値実験に利用した全データ提出の義務化を提案したい.
[/spoiler] 14:05〜15:05 
「分野横断型融合研究のすすめ」
武田朗子(東京大学)
[spoiler title=”講演要旨” open=”no” style=”default” icon=”plus” anchor=”” anchor_in_url=”no” class=””] オペレーションズ・リサーチ(OR)手法は幅広い分野に応用することが可能である.実際に,機械学習,制御,エネルギー分野等の研究会に参加すると,最適化手法をはじめとするOR手法を問題解決のためにうまく適用した,あるいは手法を改良した,といった研究報告を聞くことができる.また,逆に,他分野から解決すべき問題を知り,OR分野で研究していくことも重要である.本発表では,OR分野の研究者が他分野でどんな研究ができたか(研究成果)とともに,他分野で研究を行う楽しさ(経験談)についてお話したい.
[/spoiler] 15:25〜16:25 
「ナース・スケジューリングへの再挑戦」
池上敦子(成蹊大学)
[spoiler title=”講演要旨” open=”no” style=”default” icon=”plus” anchor=”” anchor_in_url=”no” class=””] ナース・スケジューリングは,組合せ最適化問題として解くことが難しいだけでなく,人間が潜在的に考慮している制約や評価尺度を無視できないことから,最適化アルゴリズムにとって扱いにくい問題と考えられてきた.また,現場では,いまだに病棟ナースの勤務表作成が,組合せ最適化問題としてのナース・スケジューリングにリンクせず,最適化技術が十分に活かされていない状況が続いている.その一方,近年の最適化技術の発展や汎用ソルバーの高性能化の結果,問題の評価尺度さえ規定できれば,ナース・スケジューリングのインスタンスを解くこと自体は可能になってきている.
これらの状況に対し,「最適化技術が,定式化された問題の最適解を与えるだけでなく,真の問題解決を今まで以上に支援できる」ための方法を探るため,いくつかの取り組みを始めた.本発表では,その中の1つの研究内容と最新の結果を報告する.具体的には,意思決定者が問題の探索空間や良解空間を把握することを支援する方法の1つとして,1ナースの実行可能スケジュールのすべてをネットワーク構造で表すことに取り組んだ結果を紹介する.

また,ナース・スケジューリング研究に再挑戦しようと思った経緯について,「鉄道ネットワークの最安運賃経路探索」や「訪問介護勤務スケジュール作成支援システム」の研究で得た視点を紹介しながら報告したい.
[/spoiler] 16:30〜17:30 
「最適化技術が現場で真価を発揮するためには」
檀寛成(関西大学)
[spoiler title=”講演要旨” open=”no” style=”default” icon=”plus” anchor=”” anchor_in_url=”no” class=””] 最適化技術には,理論的な側面と,その理論を現場で実問題に適用する応用的な側面がある.基本的な最適化問題を解くための理論は十分に研究されており,また優れた最適化ソルバの開発や計算機能力の発達などにより,実問題を解くための環境はかなり整っていると言える.しかしながら,最適化技術を広く利用している現場は限定的であると思われる.そこで本発表では,個人的な経験を踏まえながら,最適化技術が現場で真価を発揮するにはどのような事が必要かを考えてみたい.
[/spoiler]


日本オペレーションズ・リサーチ学会
 ■関西支部研究講演会

○日時:2013年7月13日(土)13:00〜17:00
○場所:キャンパスポート大阪 ルームD
     〒530-0001 大阪市北区梅田1-2-2-400 大阪駅前第2ビル4階
  URL: http://www.consortium-osaka.gr.jp/about/access.html
○テーマ:「ビッグデータ時代のビジネス・アナリティクス」

○プログラム:
「開会のあいさつ」
 三道 弘明(大阪大学経済学研究科教授:関西支部長)
講演1 「進化するビッグデータ/ビジネスアナリティクス」
 中川 慶一郎(NTT データ(数理システム))
講演2 「スマートな社会を実現するためのビジネスアナリティクス」
 武田 浩一(日本アイ・ビー・エム株式会社 東京基礎研究所 技術理事)
講演3 「ビジネス・アナリティックスの日本の現状と離散最適化技術」
 仲川 勇二(関西大学総合情報学部教授)
講演4 「Business Analytics trends with applications to finance」
 Chanaka Edirisinghe(テネシー大学ビジネススクール教授、 The University of Tennessee, College of Business, Knoxville)
「閉会のあいさつ」
仲川 勇二(関西大学総合情報学部教授)

○オーガナイザー:
 仲川勇二(関西大学総合情報学部教授)


■関西支部総会

○日時:2013年3月30日(土)13:30〜16:00
○場所:学校法人常翔学園 大阪センター 301教室

●記念講演会(13:30〜14:30)
講演:「組合せ剛性理論の最近の進歩と応用」
加藤 直樹 氏 (京都大学)

●支部総会(15:00〜16:00)
総会議案:
1.2012年度事業報告書について
2.2012年度決算報告について
3.2013年度支部役員の選出について
4.2013年度事業計画について
5.2013年度予算案について
6.その他

●運営委員会(16:00〜17:00)
於:学校法人常翔学園 大阪センター 301教室