2016年12月3日(土)に,愛知県立大学サテライトキャンパスにおいて,OR学会中部支部講演会(2016年度第2回)が34名の参加者を迎えて開催された.
1人目の講演者の平尾将剛氏(愛知県立大学・情報科学部)からは,講演題目「行列式点過程を用いた数値積分法とその応用」の下,イントロダクションとして数値積分法をはじめ多岐に渡る応用を持つ球面デザイン,球面デザインと準モンテカルロ法との関係性についての解説があった.
イントロダクションの後,近年活発に研究されている点過程のひとつである行列式点過程,行列式点過程から準モンテカルロデザイン系列が生成できることを紹介していただいた.
さらに情報圧縮,生物科学,携帯電話の基地局配置問題への可能性にも言及された.今後のますます研究の要請が高まる研究対象であることが平尾氏の講演を通じて十分に分かる内容であった.
2人目の講演者の伊藤真理(東京理科大学・理工学部) からは,講演題目「医療分野のスケジューリング問題に対するオペレーションズ・リサーチの適用」の下,医療分野のスケジューリング問題に対してオペレーションズ・リサーチの数理計画法を用いてどう解決したかを,幾つかの事例を丁寧に解説していただいた.
具体的には,受診者がどの順番で検査するかという検査順序を決定する人間ドックのスケジューリング問題,どの手術室でいつ手術を開始するかを決定する手術室のスケジューリング問題,どの場所でいつ採血をどれだけの量行うかを決定する採血のスケジューリング問題などであった.
講演の最後には,医療分野の問題をオペレーションズ・リサーチの問題として定式化するためには,医療分野の方々とのコミニュケーションの大切さに触れられた.会場の学生,若い研究者に対して,刺激的なメッセージにになったと思われる.今回,伊藤氏の紹介された一連の研究成果は,我が国の抱える医療に関する課題への応用が期待できる内容であった.