第326回部会 (5月16日) の開催案内

第326回 「待ち行列研究部会」

日時:2026年5月16日 14:00~17:00
場所:ハイブリッド (東京科学大学 大岡山キャンパス 西8号館(W)809号室 + オンライン)
※詳細な経路については,本部会HP(/queue/contents/place/)もご覧ください.

★★★★★★★★★★★ 参加申し込みフォーム★★★★★★★★★★★
参加形式(現地,オンライン)に関わらず、下記フォームにてお申込みください.

https://forms.gle/NhhXcrWVWcjzEtEX9

※参加人数把握のため、フォームでのお申込みについてよろしくお願いいたします.
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■ 講師とテーマ

1.河瀬 理貴、酒井高良(東京科学大学)
分布曖昧性下での混雑施設の費用回収定理

混雑は,道路等の交通インフラや通信ネットワークを始め,有限の供給容量をもつ施設で普遍的に生じる現象である.混雑課金は最も効率的な容量配分の実現に不可欠な運用であるが,不十分な容量の下では施設利用者への高い課金負担を要する.施設の容量増強は直接的に混雑を緩和する戦略であるが,その維持・運用に伴う資本費用を賄う財源がなければ最適な供給容量を持続できない.

費用回収定理(あるいはSelf-financing 原則)は,上記課題に対する理論的ベンチマークを与える.Mohring and Harwitz (1962) が初めて提唱した本定理は,社会厚生を最大化する最適混雑課金(限界費用課金)による総収入は,一定の経済規模に関する仮定の下で,最適容量に伴う資本費用と一致するというものである.すなわち,社会最適な状態では施設の供給容量の維持・運用のために外部からの補助金を必要としないことを意味する.

本講演では,潜在的な施設利用者の需要特性が従う真の確率分布を正確には把握できないという分布曖昧性の下で,費用回収定理がどのように拡張されるかを紹介する.具体的に,分布的ロバスト最適化の観点から,社会厚生のワーストケース分布期待値を最大化する供給容量と限界費用課金を考える.そして,以下の費用回収性を保証する不確実性集合の十分条件を示す: (1) 総課金収入の期待値と資本費用が一致する確率分布が不確実性集合内に存在する,(2) 総課金収入のワーストケース分布期待値が資本費用に一致する.性質(2)は,不確実性集合内の任意の確率分布に対して,総課金収入の期待値が資本費用を上回るかせいぜい等しいという意味で,費用回収定理が分布曖昧性下でも維持されることを示す.さらに,性質(2)を満たす不確実性集合の具体例として,全変動距離に基づく不確実性集合とスペクトルリスク尺度の双対表現に基づく不確実性集合を取り上げる.前者は真の確率分布に対する費用回収性の被覆保証を与え,後者は分布曖昧性下での費用回収性とリスクプレミアムの対応関係を提供する.

2.中村 彩音(慶應義塾大学 )
待ち行列ゲームにおけるワークロードの情報開示効果と料金設計

客の参入条件がワークロード(正確な待ち時間)によって決定される待ち行列モデルはこれまで広く研究されてきたが,このようなシステムにおける料金設計の特徴やその導入効果については十分に解明されていない.本発表では,戦略的な客がワークロード閾値に基づき参入の可否を決定するM/M/1型待ち行列ゲーム(Full-informationモデル)を考え,収益および社会厚生に着目する.収益最大化,社会最適,ナッシュ均衡を達成するワークロード閾値(および対応する料金)を特徴づけ,特に,系内人数の閾値に関する古典的なNaorの不等式に対して,連続状態のワークロードにおいても同様の順序関係が成り立つことを示す.さらに,従来のObservableモデル(系内人数を開示)およびUnobservableモデル(情報非開示)を本研究で解析したFull-informationモデルと比較することで,固定料金および最適料金の双方の下で,客に開示される情報の粒度が均衡下でのシステム性能に与える影響を,いくつかの定理および数値実験により示す.これらの結果から,より詳細な情報が必ずしも性能向上に寄与しないことを明らかにする.