【開催報告】ヘルスケアのOR研究会第19回

日時:2024年7月13日(土)13:00~16:20
場所:
政策研究大学院大学 5階 講義室D+オンライン(Zoom)
出席者:55名

(1) パンデミック時に感染症研究を推進するためのオペレーションとは
-コロナ制圧タスクフォースでの学びとネクストパンデミックを見据えて-
南宮湖(慶應義塾大学)

講演者はCOVID-19の重症化因子・疾患感受性遺伝子を探索すべく,パンデミック初期から、COVID-19患者の血液検体(DNA,RNA,血漿)と臨床データの集積を開始するプロジェクト(コロナ制圧タスクフォース)の事務局を担当した.本報告では,生体試料を併せ持つアジアで最大のコホートによるアジア人特異的COVID-19重症化遺伝子DOCK2のNamkoong, et al. (Nature 2022)と,実際の臨床現場のオペレーションに関する反省点の報告が行われ,ネクストパンデミックに向けた感染症研究のグランドデザインに関する議論が行われた.

(2)医療現場における数理最適化
ーナーススケジューリングを中心にー
池上敦子(成蹊大学)

医療現場では,限られた医師やナースの数,限られた手術室やベットの数を考慮し,患者の病状にあわせた医療を提供する.飲食店等のサービス業との大きな違いは, 直接命に関わる24時間切れ目ない業務であり,考慮すべき制約(ルール),絶対破れない制約も多い.本報告ではでは,ナーススケジューリング(ナースの勤務表作成)研究で得た視点を中心に,医療現場や介護現場における最適化問題についての報告と解説が実施された.

(3)全ゲノム解析等実行計画によって変わる健康医療
井元清哉(東京大学)

令和元年12月に厚生労働省は,「全ゲノム解析等実行計画(第1版)」を策定し,全ゲノム解析により一人ひとりにおける治療精度を格段に向上させ,多くの患者情報を収集し治療法のない患者に新たな治療を提供することが宣言された.この計画をうけてAMEDによって令和3年度からがん領域において約1万4千症例の全ゲノム解析が実施された.講演者はこのデータ解析を担う研究班の代表者であり,今までに4PBを超えるゲノムデータを受け取り,それ以上の解析データを生み出してきた.本講演では,全ゲノム解析等実行計画によって変わる健康医療分野の紹介とデータサイエンスへの期待について議論が行われた.