【開催報告】ヘルスケアのOR研究会第15回~学生発表会~

日時:2023年7月22日(土)14:00~17:25
場所:
大阪電気通信大学寝屋川キャンパス
A号館(OECUイノベーションスクエア)1階コンベンションホール
+オンライン(Zoom)
出席者:25名

(1) 寿命の延伸及び健康の維持に対する社会的価値~社会経済データを用いたVSLによる評価~
谷澤友亮(東京理科大学)

社会保障費を抑える面で現在重要視されている健康寿命を延ばすことでどれほどの効果・価値が生まれるのか調べる必要がある.本講演では健康の影響及び今後の死亡リスクを踏まえたVSL(統計的生命価値)を社会経済データを用いて日本の傾向を分析評価した結果が報告された.

(2) 顕示選好法による統計的生命価値の測定 -ヘドニック賃金法を用いて-
新井康太(東京理科大学)

顕示選好法は人々の社会経済活動から得られるデータから測定することが可能なVSLの測定方法を用いて,本講演では交通事故のデータを用いて,顕示選好法の一つであるヘドニック賃金法によりVSLを測定した結果が報告された.

(3) 病床管理ー機械学習による在院日数の予測ー
竹内奏(神戸大学)

限られた医療資源の有効活用を実現に繋がる病床スケジューリングや入院費用の概算に有効なものとして,入院初期における正確な在院日数予測が挙げられる.本報告では,患者データを機械学習し,在院日数予測モデルを構築し,その成果報告と提案予定の病床スケジューリングの構想が紹介された.
※本研究は伊藤真理(神戸大学),小泉正樹(海老名総合病院),矢野明美(海老名総合病院),松島俊輔(海老名総合病院),猪口貞樹(海老名総合病院)との共同研究である.

(4) ハイブリッド方式による看護師シフト作成
羽根田紗弥(南山大学)

現在,ナーススケジューリング問題には多くの研究者が取り組んでいるが,実用性,公平性,柔軟性の観点から看護師長の要求を満たすシフトを作成することができない.本報告では,ナーススケジューリング問題のハイブリッド法として,整数計画問題として定式化し,その解を求め,第二段階として,第一段階で得られた解を看護師長に承認されるように修正するために,機械学習を使用した結果が紹介された.

(5) ナース・スケジューリングにおけるチーム編成の定量評価と現場データとの突合せについてついて
伊藤 賢(静岡大学)

ナース・スケジューリングとは「ナースの勤務表作成」の事であり,多くの場合,勤務表は所属する看護師の休み希望と生活面への配慮,病棟運営に支障がないように作成される.本報告では,看護の現場における「実用面の問題」をもう一度見直しを行い,勤務表の定量評価項目である「チーム編成のパフォーマンス評価」のモデル構築と現場で測定したデータを用いた妥当性確認を行った結果が紹介された.

特別講演:健康情報とメディアリテラシー―オープンアクセスデータを通して―
阪口昌彦(大阪電気通信大学)

本報告ではOR学会機関紙6月号に寄稿された内容に基づき,近年の,医療情報のメディアリテラシーの話題をがん対策が中心に紹介された.更に,マルコフ決定過程を活用したヘルスケア研究の発展と近年の動向が報告された.