【開催報告】第303回 「待ち行列研究部会」(6月18日)
【待ち行列部会】第303回 部会 開催報告
- 日時:
- 2022年6月18日(土) 14:00〜17:30
- 出席:
- 26名
- 場所:
- ハイブリッド開催 (オンライン&東京工業大学 大岡山キャンパス 西8号館(W)809号室)
- テーマと発表者(*は講演者):
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Proof-of-Stake ブロック・チェーンにおける投票型コンセンサスアルゴリズムと信頼度を用いた報酬罰則型インセンティブ・メカニズム
笠原 正治 (奈良先端科学技術大学院大学)
本講演では,ブロック・チェーンにおいて用いられる新規ブロックの正当性検証方式の一つである,Proof-of-Stake (PoS) コンセンサス・アルゴリズムが紹介された.PoS コンセンサス・アルゴリズムは stake と呼ばれる保証金を基に選出されたバリデータ群の投票によって合意形成を行うアルゴリズムであり,バリデータに適正な投票行為を促すための報酬罰則メカニズムが用いられている.本講演では,投票履歴に基づく信頼度を導入した報酬罰則メカニズムが提案され,確率モデルのシミュレーションを通じてその挙動が議論された.さらに,信頼度に基づく合意形成に利用可能な最適意思決定ルールとして,重み付き投票ルールが紹介された.
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*宮田 純子 (芝浦工業大学),滝根哲哉 (大阪大学)
本講演では,光回線終端装置(ONU:Optical Network Units)ごとに異なるトラヒック特性を有する EPON(Ethernet Passive Optical Network)における上りトラヒックの平均待ち時間の解析が紹介された.初めに,従来の送信権割当アルゴリズム MPCP(Multi-Point Control Protoco)の拡張である,遅延 REPORTメッセージ付き MPCP (DR-MPCP) を採用した EPON システムがポーリング M/G/1 待ち行列としてモデル化された.続いて,そのモデルにおいて成立する疑似仕事量保存則が導出され,さらに ONU ごとの平均遅延時間に対する近似公式が疑似仕事量保存則を利用して導出された.最後に,数値実験を通じて近似公式の精度が非常に良好であることが示され,また,ポーリング順序が各 ONU の平均遅延時間に与える影響が議論された.
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CM/GI/1/K (1≦K≦∞)におけるサービス時間の凸順序が与える影響について
*徳田太郎,町原文明(東京電機大学)
本講演では,到着間隔が完全単調な確率密度関数を有する単一サーバ待ち行列 (CM/GI/1/K, K は 1 以上の整数または無限大) において,凸順序の意味でのサービス時間のばらつきの大きさが複数のシステム性能指標に与える影響が考察された.初めに,ある確率変数の確率密度関数が完全単調であることは,その分布が指数分布の混合として表現可能であることと等価であることが紹介された.次に,その性質を利用して,サービス時間の (凸順序の意味での) ばらつきの大小が非稼働期間長や待ち確率などの大小に与える影響に関する理論的結果が導出された.最後に数値例が示され,サービス時間のばらつきの大きさがこれらの指標に与える影響が数値的に議論された.