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2021-02-20
テーマと講師
1.k次元反射型ランダムウォークの定常分布における安定かつlight tailである十分条件について
小林 正弘(東海大学)
本講演では,k次元反射型ランダムウォークの定常分布について考察する。ただし,kは次元を表す自然数とし,変化量に対してskip free条件を仮定しておく。k=1のときは,M/M/1待ち行列でも知られるよう,定常分布の解析的表現が知られており,安定条件なども陽に導出することができる。しかし,kが2以上のときは,定常分布を解析的表現で求めることは困難である。そのため,定常分布の安定条件,大偏差理論のrate function,漸近解析などが注目され,それらの導出が盛んに行われている。k=2では,多くの研究があり,skip freeの2次元反射型ランダムウォークのみならず,マルコフ変調型モデルや上の変化量が有界でないモデルなど,拡張したモデルに関しても定常分布の安定条件や漸近解析などが理論的に求まっている。しかし,3次元以上のモデルでは定常分布に関する理論的な結果が十分得られているとは言い難い。本講演では,k次元反射型ランダムウォークの定常分布における安定かつlight tailである十分条件を紹介する。また,可能であれば,product-form条件につい
ても説明を行う。
2.モバイルシンク付きWSNモデルに見られるオペレーションズ・リサーチ
金子 美博(岐阜大学)
無線センサネットワーク(WSN)モデルの中に,モバイルシンク付きWSNモデルがある.元々はシンクを動かして長寿命を狙ったものの,低遅延やスループット向上など,他の目的での改良も多数提案されている.そこには,数理計画問題を初め,ORの馴染みのトピックが見え隠れしている.本講演では,それらORのトピックを,モバイルシンク付きWSNモデルを通して紹介する.また,関連のサーベイ論文をサーベイすると共に,研究室での取組についても紹介する.