【開催案内】第324回部会(12月20日)待ち行列研究部会

第324回 「待ち行列研究部会」

日時:令和7年12月20日 14:00~17:00
場所:ハイブリッド (東海大学 品川キャンパス 1号館2階 1-2会議室 & オンライン)
※詳細な経路については,本部会のトップページもご覧ください.

★★★★★★★★★★ 参加申し込みフォーム★★★★★★★★★★
https://forms.gle/c9aokVEcJkk6kwof9
※参加人数把握のため、フォームでのお申込みについてよろしくお願いいたします.
※懇親会は会場の都合上、お申込みが20名に達した時点で締め切らせていただきます.
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■ 講師とテーマ

1. 宮沢 政清(東京理科大学)

タイトル:Heavy traffic limit with discontinuous coefficients via non-standard semimartingale decomposition

概要:

本発表は,Rami Atar との上記表題の共著論文Atar & Miyazawa (2025)に基づき,状態依存型待ち行列モデルの拡散近似の新しい解析方法を紹介し,その可能性について論じます.待ち行列モデルの重負荷における拡散近似について,これまで数多くの研究が行われてきました.その多くは,流体近似と中心極限定理により,重負荷時において,時間と状態を尺度変換した待ち行列過程が反射壁をもつ拡散過程への弱収束することを証明しています.本研究の目的は,到着やサービスの速度が待ち行列長により変化する単一窓口待ち行列(状態依存型待ち行列と呼ぶ)について,同様な確率過程の弱収束を証明することです.しかし,この場合には,ポアソン到着と指数分布に従うサービス時間の場合(M/M型)を除くと,従来の解析方法を適用することが難しく,ほとんど研究が行われてきませんでした.本研究では,Dale & Miyazawa (2019)による,点過程の非標準的セミマルチンゲール分解を適用すると,到着間隔やサービス時間が一般の分布に従う場合(GI/G型)の多段階状態依存型単一窓口待ち行列に対して,見通しよく拡散近似極限が得られることを示します.この極限は不連続なドリフトと拡散係数(分散)をもつ反射型の拡散過程です.ここに多段階とは,待ち行列長が予め決められたレベルに到達すると到着やサービスの速度が変化することを意味します.

 

2. 紀 一誠(神奈川大学)

タイトル:Delayed Markov Chain

概要:
単純マルコフ連鎖を含み,多重マルコフ連鎖の部分集合となるDelayed Markov Chain (遅れマルコフ連鎖) という新しいマルコフ連鎖のクラスを構成し, その基本的性質について調べる.DMC(Delayed Markov Chain) は状態爆発を起こすことなく多重マルコフ連鎖をあつかうことができ,AoI(Age of Information) の異なる複数の状態推移確率情報に依存して状態推移がおこる状況の記述をおこなうことができる.さらに,DMC を連続時間マルコフ連鎖に拡張した CDMC(Continuous Time Delayed Markov Chain) を定義し,その基礎となる時間遅れ項をもつ微分方程式の基本的な性質について調べ,その結果の応用としてCDMC型のM/M/1(有限バッファ)について考察する.