特別講演1
日時:9月11日(木)
会場:サタケメモリアルホール
※本講演は、広島大学AI・データイノベーション教育研究センター との共催となります。
※本講演は一般公開といたします。研究発表会参加者以外の方は、講演会会場入り口付近に記載台を用意いたしますので、そちらにご記帳の上、ご参加ください。
講演者
杉野 利久 氏(広島大学酪農エコシステム技術開発センター)
題目:デジタル技術で変わる乳牛管理:異分野連携による酪農実装モデル
概要:
近年,労働力不足や気候変動への対応が求められる中,乳牛の飼養管理においてもデジタルトランスフォーメーション(DX)の導入が急務となっている。本発表では,乳牛の健康,繁殖,栄養および生産性管理におけるDXの現状と将来展望について紹介する。具体的には,センサーによる反芻行動や起立横臥時間のモニタリング,画像解析やLiDARを活用した牛体の計測,および機械学習を用いた乳量予測モデルの構築事例などを取り上げる。さらに,これらのデータを統合的に活用することで,発情や疾病の予兆検出,飼料設計の最適化が可能となり,飼養管理の効率化と乳牛の福祉向上の両立が期待される。一方で,現場ではICT機器の導入・維持コストや,ユーザーのリテラシー格差といった課題も存在する。そこで,現場適用のための技術的要件に加え,地域内のデータ共有や若手人材の育成といった社会実装の視点も交えながら,スマート酪農の実現に向けたロードマップを考える。
特別講演2
日時:9月12日(金)
会場:サタケメモリアルホール
※本講演は、広島大学AI・データイノベーション教育研究センター との共催となります。
※本講演は一般公開といたします。研究発表会参加者以外の方は、講演会会場入り口付近に記載台を用意いたしますので、そちらにご記帳の上、ご参加ください。
講演者
岩尾 忠重 氏(高知大学農林海洋科学部IoP共創センター研究開発部門)
題目:IoP技術を活用した農業課題への数理最適化アプローチ
概要:
日本農業は深刻な危機に直面している。食料自給率の低下、農業従事者の高齢化と減少、若手の参入障壁といった構造的問題が山積している。一方で、農作物の生育は気象条件、土壌環境、病害虫発生など多数の要因が複雑に絡み合う非線形システムであり、従来の経験則や統計的手法では限界がある。
特に収量予測の精度向上は喫緊の課題である。現状では、温度・湿度・光量等の環境制御による収量への影響度合いが定量化されておらず、最適な制御方針が確立されていない。また、限られた労働力を管理作業と収穫作業にどう配分するかという労働最適化問題も重要である。
本講演では、IoP(Internet of Plants)技術によるデータ収集基盤を活用し、これらの農業課題に対してオペレーションズリサーチ手法がどのように貢献できるかを議論する。具体的には、機械学習による収量予測モデルの構築、動的計画法を用いた環境制御最適化、労働配分問題への組合せ最適化の適用などの可能性を探る。